幼子に
合わせてみせる
この両手
覚法寺だより 第61号
9月に入り涼しい日が続いています。とはいえ、まだまだ暑い日もありますので、もうしばらく暑さ対策を忘れずに夏の名残を楽しませて頂きたいと思います。
今月は、お彼岸を迎えます。お彼岸は、春と秋の年2回、太陽が真西に沈むこの時季に、西方にあると経典に説かれる極楽浄土に思いを致し、そこにおいて現に法をお説きくださる阿弥陀如来さまのみ教えに耳を傾けさせていただく仏法聴聞のご縁です。
ときどき、法事でお参りさせて頂いたお宅で、大人の真似をして手を合わせ「なんまんだぶ、なまんだぶ」と声に出して称えてくれるお子さんがいます。お参りの皆さまとともに、とても和やかで温かい雰囲気に包まれ、ありがたく思うことがあります。
そのような時に、以前新聞に取り上げられた出来事を思い出します。それは、もうずいぶん前のことですが、ある小学校で昼食の前にクラス全員揃って合掌して「いただきます」と唱和していたそうです。ところが、一人の親御さんから学校へ「うちの子に合掌をさせないでほしい」との要望がありました。学校で検討した結果「合掌していただきます」をすることは止めましょうということになり、それが新聞に掲載され紙上で大論争になったことがありました。
その親御さんは、信教の自由の立場から「特定の宗教のやり方を押し付けないでほしい」という意図で「うちの子に合掌させないで」との要望になりました。
これは極端な例かもしれませんが「合掌してくれるな」という親もある中、私に「掌を合わせることのできる子に育ってほしい」「お念仏申す人生を歩んでほしい」との願いをもってお育て下さった方々がいたことを大切にさせていただきたいと思います。そして、その源泉こそ阿弥陀様のご本願(根本の願い、御本意)「あなたを本願を真実と仰ぎ、お念仏申す身に育て上げて悟りの世界に生まれさせよう」と、願いのままにはたらいてくださるところにあるのでしょう。
お彼岸は、お念仏のみ教えをお聞かせいただく絶好の機会です。お墓参りだけではなく、是非ご家族揃ってお寺にお参り下さい。覚法寺では、9月23日お彼岸のお中日に法要をお勤めいたします。ご講師に吉弘一秀師(千葉県・西光寺)をお迎えして節談説教(講談や落語の元になったといわれています)をお聞かせ頂きます。皆さま、お誘い合わせてお参りください。
合 掌
平成29年9月
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