浄土にて
かならず かならず
まちまいらせ候べし
親鸞聖人
覚法寺だより 第54号
一年で最も寒い時期をようやく抜け立春を迎えますが、インフルエンザが猛威を奮っているようです。皆様も体調管理には十分ご留意ください。
さて、今月の法語は、親鸞聖人御消息(門徒に宛てて書かれたお手紙)の中から、御門弟からのお念仏の教えに関する疑問にお答えされた後に「わたしは今はもうすっかり年老いてしまい、きっとあなたより先に往生するでしょうから、浄土で必ずあなたをお待ちしています。」(現代語)よりいただいております。
そのお言葉をいただいた方は、どれほど心強く思われたことでしょう。そして、今、お浄土に向かっての歩みを進める私たちにも届けられているお言葉です。
昨年の夏、島根のお盆法要に帰った時のことです。前日の飛行機を予約していましたが、台風接近の影響を受け、飛行機が予定通り飛ぶかわからない状況の中、羽田空港へ向かいました。空港の案内を確認すると条件付き運航と表示されています。条件付き運航とは、取り敢えず出発するものの目的地に着陸できない場合は他の空港か羽田へ戻るというもので、無条件で他の便への変更やキャンセルを受け付けている状態です。明日の行事に間に合わせるためには何としてもその日のうちに島根に帰りたい私は、予定通り搭乗しました。出雲空港まで一時間程のフライトです。しかし、出雲に降りられなかったらどうしようかと考えると落ち着きません。そして、間もなく着陸態勢に入るとき、改めて機長のアナウンスが入ります。「当機は間もなく着陸いたしますが、出雲空港視界不良の為、着陸をやり直す場合があります。着陸できない場合は、最寄りの伊丹空港か羽田空港へ戻ります」と。行き先が定まらないということは、なんと不安で心もとないことでしょう。
これが、自分の人生であったならばどうでしょう。自らの人生に引き当てて考えた時に、なんと落ち着きのない不安の中で人生を歩んでいる、否、さ迷っていることか・・・。それが、いたずらに死を恐れそこから目を背けることになるのでしょう。
親鸞聖人が、「浄土にて必ずお待ちしています。」と仰ったのは、今、「必ず浄土に生まれさせる。安心してまかせよ。」と「南無阿弥陀仏」のよび声となって働いてくださる阿弥陀さまの真実心を恵まれお念仏申す人は、お浄土に参らせていただく身に定まりつくからなのです。参らせていただくところが定まっている、待たれている世界があるということは、この人生を歩む上で大きな安心、支えとなるはずです。
合 掌
平成29年2月
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