ご恩報謝とは
恩を返すことではなく
ご恩を無駄にせぬことである
小山法城
覚法寺だより 第51号
寒暖の差が激しい中、11月となり今年も残すところあと二ヶ月となりました。晩秋の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
島根の覚法寺では、去る10月23日にお陰様で報恩講(ほうおんこう)法要をお勤めさせていただきました。東京分院では、今月19日にお勤めさせていただきます。
報恩講は、浄土真宗独自の行事です。宗祖親鸞聖人のご命日に当たり、聖人90年のご生涯のご遺徳を偲び、そのご恩に感謝する仏事です。本山では、毎年1月9日から16日まで営まれ、御正忌(ごしょうき)報恩講といいます。それに先立って各別院や一般寺院に於いてお勤めされます。さらには、各ご家庭でお勤めされている地域が今でもあります。このように、一人の宗祖の法事を本山から各家庭までお勤めされることは、他には無いことと聞いたことがあります。
それほどに、親鸞聖人に導かれて様々なお育てにあずかりながら阿弥陀様のお心を仰ぎお念仏申す人生を歩まれた先人方がいらっしゃったのです。今、そのみ教えが私にも伝え届けられてきたことを思う時、ご縁の不思議と尊さを思わずにはおれません。皆様も、自身が今、合掌してお念仏申す身となられた事実から遡って、どの様なご縁があってのことなのか思い返してみてください。一輪の花が咲くためには、種を蒔き水や肥料を与え、日に当たり鳥に啄ばまれないようにと、手を掛けなければならないように、きっと一つや二つではない、もしかしたら自分自身でも気付かないような些細なことや都合の悪いことまでもが尊いご縁であったのかもしれません。「お陰様」が、死語になりつつあると聞きます。言葉にすることのできないこともありますが、その気持ちだけは見失わないようにありたいと思います。
さて、東京分院では、11月5日に予定されておりました本山に於ける木仏点検が、伝灯奉告法要期間中につき11月14日に変更になりましたが、点検後、報恩講当日に新たにご本尊をお迎えしてお勤めさせていただけることとなりました。この度ご本尊をお迎えさせていただくことのできることの計り知れないご縁に思いを致し、ひとりでも多くの方と喜びを共にさせていただきたく存じます。有縁の皆様には、どうぞお誘い合わせてお参りくださいますようご案内申し上げます。詳細は別紙にて同封しておりますのでご覧ください。
合掌
平成28年11月
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