2月の伝道掲示板

 深き 人の心と 降る雪は

    つもるにつれて 道を失う

       高橋泥舟

覚法寺だより 第42号

 

新年を迎えたと思っていたら、あっという間に2月になりました。インフルエンザも流行り始めているようなので、皆様、体調には十分ご注意ください。

 

私事で恐縮ですが、この度、分院二階の庫裡(くり・住職、寺族の居住する場所)に引っ越しをさせていただきました。建て替えのために旧分院の引っ越しがあったとはいえ、本格的な引っ越しは、20年振りのことです。あらかじめ準備をするつもりでいましたが、急な仕事が入る等、.なかなか予定通りにはいきません。引っ越しの3日前から慌てて段ボール箱に荷物を詰め始めたのですが、詰めても詰めてもなかなか片付きません。この20年の間に「なんでこんなに物が増えたのだろう」と、出るのは溜息と愚痴ばかりです。しかも、必要と思って購入したにもかかわらず、ほとんど使わずに埃をかぶった健康器具や、一回だけ使ってお蔵入りの道具、まだ生まれてもいない孫が、いずれ小学生くらいになれば使うだろうと、娘が使ったバドミントンセットまで処分できずに持ってきてしまいました

 

 最近は「断捨離」という実践方法があるようですし、20年以上前には、「清貧の思想」が、バブル崩壊の時期とも重なり注目されたことがありました。どちらも簡素な生活の中に心の豊かさを見出していくことができる道なのでしょう。とはいうものの、一度手にしたものを簡単に手放すことができないのもまた私たちの情です。

 

仏教では、「少欲知足」の生き方を説きます。浄土真宗の正依の経典「仏説無量寿経」にも、阿弥陀様がまだ修行者のくらいにおけるお姿として示されます。「足ることを知る」とは、今すでにこの身に与えられていること、恵まれていることを慶び、そのご恩に感謝できることです。それが、おのずから際限なき欲望に振り回されることのない「少欲」につながるのではないでしょうか。

 

ご一緒にほとけさまのみ教えをお聴聞しませんか。

 

覚法寺分院では、既にご案内の通り建て替えが完了しました。現在は、建築会社より引き渡しを受け、本堂内の工事も最後の仕上げ段階に入りました。2月15日には、新本堂での初法座を開催し、2月27日には、竣工式を兼ねてご講師をお迎えして報恩講法要をお勤めいたします。皆様お誘い合わせの上、万障繰り合わせてお参り下さいますようご案内申し上げます。

                                合 掌                             

 

   平成28年2月