見ずや君 あすは散りなむ 花だにも
力のかぎり ひと時を咲く
九條 武子
覚法寺だより 第20号
新年度がスタートしました。私たちの宗門も新たな時代を迎えようとしております。来る6月6日には、法統継承式が執り行われ、ご門主が退任され新門さまが第25代門主に就任されることとなりました。新しい時代の幕開けです。私たちひとり一人が親鸞聖人のお流れを汲む浄土真宗の門徒としての自覚を新たにして臨みたいと思います。
さて、覚法寺分院のある小金井市は、桜の名所として知られ春爛漫のこの時季多くの花見客で賑わいます。程なく散り行く花が今を精一杯に咲き誇って見せる姿に私たちは感動を覚えます。
ところで、私たちはどうでしょうか?限りあるいのちであることは、誰でもわかっていることです。しかし、本当に「限りある」ことを受け止めていると言えるのでしょうか。否、むしろ「死」に対する不安や恐れから「限りある」事実から目をそむけ見ないようにしているのでないでしょうか。それではせっかく恵まれたいのちを力のかぎり咲かせることは難しいと思われます。この身のある限り「死」に対する不安や恐れを全く無くすことはできなくとも、いたずらな不安や恐れを取り除き、いのちに方向と意味を与えてくださるのが阿弥陀如来の本願念仏の御法です。
今月の法語は、本願寺第21代門主明如上人の次女としてお生まれになられた九條武子様の歌集金鈴に収められた歌です。武子様は歌人としてだけではなく、自らも被災された関東大震災による負傷者や孤児の救護救援活動(後のあそか病院)や仏教精神に基づく女子大(京都女子大)の設立に尽力されたことでも知られています。42歳でご往生を遂げられますが、お念仏申しつつ、まさに力のかぎり生き抜かれたご生涯でありました。
阿弥陀様の御法をご一緒にお聴聞いたしましょう。
合掌
平成26年4月1日
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