歩むべき方向をもたぬ人には迷路すらない
迷路は歩むべき道への通路である
覚法寺だより 第9号
晩春の候、分院の境内ではつつじや芝桜、すずらんが咲いています。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月は親鸞聖人のお誕生月です。聖人は承安3年(1173) 5月21日、京都の日野でお生まれになりました。本山では、親鸞聖人のご誕生を祝って宗祖降誕会(ごうたんえ)が勤まり祝賀能や飛雲閣(国宝)での抹茶接待など華やかな催しが行われ、ご誕生を祝います
親鸞聖人がその生涯をかけて歩まれた道は、「生死出ずべき道」です。「生死出ずべき道」とは、迷いを離れて悟りに至る成仏道(真実・心理に目覚めたる者に成る道)です。比叡山で20年間修行された聖人は、悟りに至る道を見出せずに山を下りられました。その後、六角堂へ百日の参籠を経て、吉水で本願念仏の教えを説く源空(法然)聖人の許へ参られたのです。
ところで、私たちには、迷いを離れて悟りを求めようとする心があるのでしょうか。迷っていることに気付かずにうろうろしている私には、悟りを求めようとする思いは生じないのでしょう。問いのないところに答えは必要ないのかもしれません。しかし、答えを与えられることによって、問いの大切さに気付かされるということもあるのではないでしょうか。
今月は、大型連休もあり旅行される方も多いことでしょう。旅を楽しむことができるのは、帰る家があるからだとお聴かせいただきました。離れていても旅先の私を支えてくれるのは、手ぶらで帰ることのできる我が家なのです。
私たちの人生もよく旅に譬えられます。どこに向かって歩む人生なのか、その方向は定まっていますか。阿弥陀様は私のいのちの帰する世界をお浄土として建立してくださいました。本願(私を本願を信じ念仏する者に育て上げ必ず浄土に生まれさせると誓われた根本の願い)を信じお念仏申す人生は、迷いの身のまま、お浄土に向かっていつでもお慈悲のど真ん中を歩ませていただきます。
覚法寺東京分院では、5月26日午後1時から宗祖降誕会をお勤めさせていただきます。お誘い合わせてお参りください。
合掌
平成25年5月1日
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